美味しいお米ができるまで

3月

3月(ハウスの準備)

ビニールハウスの周辺を除雪してビニールを掛けていき、1ヶ月位かけて雪を溶かします。
地温を温めることが目的。3月中旬には田んぼに融雪剤(木炭の粉)を撒いていきます。

4月

4月(種籾の準備)

4月に入ると種籾の準備。種籾に後から病気が出てこないように殺菌処理を施します。
昔は殺菌に農薬を使うのが普通でしたが、
東川町では町全体で農薬を使わずにお湯で処理をしています。
60度のお湯に10分つけることで殺菌が可能。町の施設で処理された種籾を使用しています。
その後水を入れた水槽に種籾を漬けて発芽しやすい状態にする。
さらに種籾を品種ごとに催芽機という機械で種籾を温めます。
お湯と蒸気で種籾を蒸らし、24時間くらい掛けて発芽させていき、
程よい状態に発芽を確認したら種籾を脱水し陰干します。

並行して苗用のポットに入れる土作り。土に有機肥料を混合し準備しておく。
またこの頃になるとハウスの方も乾いてくるので、土を起こして有機肥料を撒き
ローラーをかけ平らにしてから種まきをして水を撒く。
保温の為にシルバーシートをかけて湿度と温度を発芽条件に適した状態にします。
そこから早ければ2〜3日、遅くて1週間ほどで芽が出始め、
その後は生育のステージに合わせてハウスを開け閉めして温度管理をしていきます。

田んぼも同時進行で、ある程度水が引いて乾いてきたら、
トラクターで耕して有機の肥料を撒き、準備を進めていきます。

5月

5月(田植え)

5月に入ると田んぼの方は次の行程に進みます。
「荒代掻き」と「仕上げ代掻き」いう作業に入りますが、田んぼに水を入れ、
荒代掻きでは大きな土を砕いて水と混ぜ合わせ、仕上げ代掻きでは
その上に化粧をするような感覚で表面を細かく平らに整えていきます。
田植えをしやすくそして稲の生育を安定させるためにも、この工程はとても重要になります。

天候にもよりますが、例年5月の20日前後が田植えの始まる時期になります。
田んぼから一度水を抜いて、育った苗を田植え機で植えていきます。
田植えが終わるとまた田んぼに水を入れて完了です。

6月

6〜7月(草取りと水管理)

田植えが終わると、普通は除草剤を撒いて、あとは畦の草刈りと水管理をしながら
秋まではそう忙しくもないのですが、有機栽培の場合はここからまた必要な作業が色々あります。
まずは田んぼの中の草取り。
除草機を使っての作業となりますが、
機械で取れない場所は手作業で草取りをします。
実は先の行程の代掻きが下手だと地面が空気に触れてしまい、
その結果雑草が増えたりなど、それぞれの行程はその先の行程へと影響を与えることになるので、
丁寧な作業が美味しいお米を作るにはとても大切になってきます。

6月の下旬になると、稲の穂の赤ちゃんが育ってきます。
穂を守るためにこの時期には田んぼに水を入れて深くしていきます。
稲の生育に重要なこの時期ですが、例年7月の上旬くらいになると10日間ほど
気温の下がる時期があり、この時期は特に神経を使います。
東川は大雪山の麓で水温も旭川などに比べると低く、水温を考えずにそのまま田んぼに入れてしまうと
冷害が発生します。その為、日中ある程度温度が上がった水を夕方から田んぼに入れ
朝になったら止めるなど、天候によってやり方を工夫する必要があります。
さらに雑草が生えないように、畦にミントなどのハーブを植えて雑草を減らす工夫をしています。

8月

8月(中干し)

8月に入ると稲も大きく成長し、ここからは少しづつ秋の収穫を意識した行程にはいります。
稲は固く強く育つことで害虫にも強くなり、倒れることも少なくなります。
また稲がきちんと立つことで葉の光合成の効率が良くなり健康に育ちます。
そいう理由から稲の状況を確認しながら、籾殻の燻炭を葉面散布していきます。
籾殻の燻炭には害虫の忌避効果や植物を固くする効果があり、
稲の健康な成長を助けてくれます。

そして、この時期に中干しという作業も行います。
田んぼの水を抜き、表面にヒビが入るくらいまで乾かします。
これにはいくつかの目的や効果がありますが、土中に酸素を補給して根腐れを防ぎ、根の活力を高め、
また土中の有害ガス(硫化水素、メタンガス)を抜くことも出来ます。
土を固くして収穫の際の作業性を高める狙いもあります。

また、8月は収穫の準備も並行して進めます。
稲刈りに使う機械やその後に必要な機械類の整備をして収穫時期に
故障やトラブルが無いようにしっかりと段取りをしていきます。

9月〜10月

9〜10月(稲刈り)

9月はこれまでの努力が実る稲刈りの季節です。
天候等により若干の違いはありますが、通常は9月中旬から10月上旬にかけてが稲刈りを行います。
ここまでくると後は機械で刈るだけの作業になりますので、機械のトラブルに気を付けるだけとなってきまが、
稲に雨や露が付いていると機械のトラブルにつながりやすいので、天候と始める時間帯だけは気を付けて作業しています。
コンバインで収穫した稲は、その後12〜24時間かけて乾燥機で水分が14.5〜15%程度になるまで乾燥させます。
その後、籾摺り機で籾を取り除き、石抜き機で異物を取り除いた後、選別機で粒を選別し、さらに色彩選別機で
未熟米や小石、斑点米などを取り除きます。その工程を経てから30kg単位に袋詰をしていきます。

さたけ農園ではお米をお客様に直接販売をしていますので、袋詰したお米を農協の検査場へと運び、
全てのお米を検査してもらいます。その後お米を持ち帰り、等級や有機JAS認証の表示を入れて販売を始めます。
例年、個人のお客様への発送は10月下旬から始まります。尚、年間契約をいただいている個人のお客様分のお米に関しては
お米用の冷蔵庫で保管し毎月一回発送するというサービスも行っています。

11月

11月(土作り)

稲刈が終わった田んぼは来年に向けての準備として、一度土を耕して(秋起こし)その後厳しい冬を迎えます。